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     大正七年五月より(2)

 

 窓 二首

 

天窓をのぞく四角の
碧ぞらは
暮ちかづきてうす雲をはく

 

ひそやかに
ちかづく暮にともなひて
うす雲をはく
ひときれの窓

 

こゝはこれ
みちのくなれば
七月の終りといふに
そら深むなり。

 

みそらには
秋の粉ぞいちめんちりわたり
一斉に咲く
白百合の列。

 

そらはまた
するどき玻璃の粉を噴きて
この天窓の
レースに降らす。

 

ひがしぞら
うかぶ微塵のそのひかり
青み惑ひて
わが店に降る。

 

月弱く
さだかならねど
縮れ雲ひたすら北に飛びてあるらし。