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     大正六年七月より(6)

 

 上伊手剣舞連

 

うす月に
かゞやきいでし踊り子の
異形を見れば こゝろ泣かゆも。

 

うす月に
むらがり踊る剣舞の
異形のきらめきこゝろ乱れぬ。

 

剣舞の
赤ひたたれは
きらめきて
うす月しめる地にひるがへる。

 

 種山ヶ原七首

 

白雲のはせ行くときは
丈たかき
草穂しづかに茎たわみつゝ。

 

オーパルの
草につゝまれ
秋草とわれとはぬるゝ
種山ヶ原。

 

白雲は露とむすびて
立ちわぶる
手帳のけいも青くながれぬ。

 

白雲にすがれて立てるあざみより
種山ヶ原に
かなしみは湧く。

 

目のあたり
黒雲ありと覚えしは
黒玢岩メラファイアアの 立てるなりけり

 

白雲の種山ヶ原に燃ゆる火の
けむりにゆらぐ
さびしき草穂。

 

こゝはまた
草穂なみだち
しらくものよどみかゝれるすこしのなだら。

 

わかものの
青仮面の下につくといき
ふかみ行く夜をいでし弦月。