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     大正六年七月より(4)

 

そらひかり
八千代の看板切り抜きの紳士は
棒にささへられ立つ。

 

あをじろき
ひかりのそらにうかびたつ
三きれの雲と切り抜き紳士。

 

あかり窓
仰げばそらはTourquoisトコーイス
板もて張られ
その継目光れり。

 

帰依法の
皺たゝみ行く雲原と
なみだちつゞく青松原と。

 

をちこちに
削りのこりの岩頸は
松黒くこめ白雲に立つ。

 

よりそひて
あかきうで木をつらねたる
青草山の
でんしんばしら。

 

阿片光
さびしくこむるたそがれの
胸にゆらぎぬ
青き麻むら。

 

うつろより
降り来る青き阿片光
百合のにほひは
波だちにつゝ。

 

粟ばたけ
立ちつくしつゝ青びかり
見わたせば
百合雨にぬれたり。

 

しろがねの
あいさつ交すそらとやま
やまのはたけは
稗しげりつゝ。