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     大正六年五月(4)

 

めさむれば
四人ひとしくねむりゐたり
はひ松ばらの
うすひのなかに。

 

(すゞらんのかゞやく原をすべり行きて
 風のあしゆびの
 泣き笑ひかな。)

 

 まひるのかしはゞら 三首

 

ましろなる
やなぎの花のとぶすその
のうまわれらをしたひつゞけり。

 

ましろなる
やなぎ花とぶ野のなかに
傷つける手をいたはりて来る。

 

手をひろげ
あやしきさまし馬追へる
すゞらんの原の
はだかのをとこ。

 

  ※ 北上川

 

あけがたの
電気化学の峡を来る
きたかみ川のしろき波かな

 

さくらの実
喰ひかけをつと落しつゝ
かやの枝よりはなれたる鳥

 

なゝつもり
いまは坊主の七つ森
ひかりのそこに
しんとしづめり。

 

 「ちゃんがちゃがうまこ」 四首

 

夜明げには
まだ間あるのに
下のはし
ちゃんがちゃがうまこ見さ出はたひと。

 

ほんのぴゃこ
夜明げがゞった雲のいろ
ちゃんがちゃがうまこ 橋渡て来る。

 

いしょけめに
ちゃがちゃがうまこはせでげば
夜明げの為が
泣くだぁぃよな気もす。

 

下のはし
ちゃがちゃがうまこ見さ出はた
みんなのながさ
おどともまざり。