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     大正五年十月より(5)

 

ねたみあひ
こがたなざいく
青き顔
盛岡のそらのアルコホル雲

 

オリオンは
西に移りてさかだちし
ほのぼののぼるまだきのいのり。

 

三日月は
黒きまぶたをあらはして
しらしらあけの
そらにかゝれり。

 

かゞやける朝のうつろに
突つたちて
馳する木のあり
緑青の丘

 

何かしらず
不満をいだく丘丘は
緑青の気をうかべたるかな。

 

ある山は
なみだのなかにあるごとく
木々をあかつきのうつろに浸せり。

 

ギラギラの
朝日いづれば
わがこゝろ
かなしきまでに踊り立つかな。

 

なんだ。」
さけの伝票。」
だれだ。名は。」
「高橋茂ぎづ。」
「よし。びゃこ、待で。」

 

ちゞれ雲
銀のすすきの穂はふるひ
呆けしごとき
雲かげの丘

 

黄葉落ちて
象牙細工の白樺は
まひるの月をいたゞけるかな。