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     大正五年十月より(3)

 

野ばらの木など
かゞやくものを 七つもり
あまりにしづむ リパライトならずや。

 

猩々緋
雲をけふこそ踏み行けと
をどるこゝろの
きりぎしに立つ。

 

きん色の西のうつろをながむれば
しばしば
かつとあかるむひたひ。

 

「青空の脚」といふもの
ふと過ぎたり
かなしからずや 青ぞらの脚

 

いまいちど
空はまつかに燃えにけり
薄明穹の
いのりのなかに。

 

学校の郵便局の局長は
(桜の空虚)
齢若く死す。

 

まどがらす
とほり来れる日のひかり
日のひかり つくゑ
ひとの縄ばり。

 

「いきものよいきものよいきものよ」
とくりかへし
西のうつろのひかる泣顔。

 

うつろしく
遠くのぞめばひらめきて
たそがれぞらは
だんだらの縞

 

たそがれの
そらは俄にだんだらの
縞をつくりて灯はゆれにけり。