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     大正三年四月(7)

 

そらに居て
みどりのほのほかなしむと
地球のひとのしるやしらずや。
 

 

わが住める
ほのほ青ばみ
いそがしく
ひらめき燃えて
冬きたるらし。
 

 

げに馬鹿の
うぐひすならずや
蠍座に
いのりさへするいまごろなくは。
 

 

なにのために
ものをくふらん
そらは熱病
馬はほふられわれは脳病
 

 

六月の
十五日より曇りしと
日記につけんそれも懼れあり。
 

 

わなゝきの
あたまのなかに
白きそら
うごかずうごかず
さみだれに入る。
 

 

ぼんやりと脳もからだも
うす白く
消え行くことの近くあるらし。
 

 

目は紅く
関析多き動物が
藻のごとく群れて脳をはねあるく。
 

 

ものはみな
さかだちをせよ
そらはかく
曇りてわれの脳はいためる。
 

 

この世界
空気の代りに水よみて
人もゆらゆら泡をはくべく。