目次へ  縦書き

     大正三年四月(4)

 

風さむし
屋根をくだらん
うろこぐも
ひろがりてそらは
やがてよるなり。
 

 

むねそよぎ
しら雲垂るゝ朝の河原
からすのなかにて
われはかなしみ。
 

 

ふとそらに
あらはれいでて
なくひばり
そらにしらくもわれはうれへず。
 

 

北のそら
見えずかなしも
小石原
ひかりなきくも
しづに這ひつゝ。
 

 

地に倒れ
かくもなげくを
こころなく
ひためぐり行くか
しろがねの月。
 

 

たんぽぽを
見つめてあれば涙湧く
あたま重きまま
五月は去りぬ。
 

 

雨にぬれ
屋根に立ちたり
エナメルの
雲はてしなく
北に流るゝ。
 

 

何とてなれ
かの岸壁の舌の上に立たざる
なんぢ 何とて立たざる。
 

 

岩つばめ
むくろにつどひ啼くらんか
大岸壁を
わが落ち行かば。
 

 

さみだれに
このまゝ入らん
風ふけど半分燃えしからだのだるさ。