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     大正三年四月(11)

 

くるほしき
わらひをふくみ
学校は
朝の黄ぐもに延びたちにけり。

 

しづみたる
月の光はのこれども
踊のむれのもはやかなしき。

 

羽ね抜けの
鶏あまたあめふりの
温泉宿をさまよひてけり。

 

よるべなき
酸素の波の岸に居て
機械のごとく 麻をうつひと。

 

仕方なく
ひばりもいでて青びかり
ちらばりそめし空を飛びたれ

 

停車場の
するどき笛にとび立ちて
暮れの山河にちらばれる鳥。

 

すゝきの穂
みな立ちあがり
くるひたる
楽器のごとく百舌は飛び去る。

 

青りんご
すこしならべてつゝましく
まなこをつむる露店のわかもの。

 

つくられし
祭の花のすきますきま
いちめんこめし銀河のいさご。

 

山山に
雲きれかゝり
くらがりの
城あとに栗さんざめきたり。