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     明治44年1月より(8)

 

屋根に来てそらに息せんうごかざるアルカリいろの雲よかなしも。

 

巨なる人のかばねを見んけはひ谷はまくろく刻まれにけり。

 

風さむき岩手のやまにわれらいま校歌をうたふ先生もうたふ。

 

いたゞきの焼石を這ふ雲ありてわれらいま立つ西火口原

 

石投げなば雨ふるといふうみの面はあまりに青くかなしかりけり。

 

泡つぶやく声こそかなしいざ逃げんみづうみの青の見るにたえねば。

 

うしろよりにらむものありうしろよりわれらをにらむ青きものあり。