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     明治44年1月より(7)

 

きら星のまたゝきに降る霜のかけら、墓の石石は月光に照り。

 

うす黒き暖炉にそむきひるのやすみだまつて壁のしみを見てあり。

 

白きそらひかりを射けんいしころのごとくもちらばる丘のつちぐり。

 

つちぐりは石のごとくに散らばりぬ 凍えしがけのあかつちのたひら。

 

あかるかに赤きまぼろしやぶらじとするより立ちぬ二本のかれ木。

 

湧き出でてみねを流れて薄明の黄なるうつろに消ゆる雲かも。

 

こぜわしく鼻をうごかし西ぞらの黄の一つ目をいからして見ん。

 

西ぞらの黄金きんの一つめうらめしくわれをながめてつとしづむなり。

 

厚朴の芽は封蝋をもて堅められ氷のかけら青ぞらを馳す。

 

粉薬は脳の奥までしみとほり痛み黄いろの波をつくれり。