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     明治44年1月より(5)

 

十月に白き花さき実を結ぶ草に降る日のかなしくもあるか。

 

だんだんに実をつけ行きてつきみ草
いま十月の 末となりぬる。

 

靴にふまれひらたくなりしからくさの
茎のしろきに 落つるせき

 

西ぞらの月見草のはなびら皺み
うかびいでたる青き一つぼし

 

山なみの暮の紫紺のそが西に
ふりそそぎたる黄のアークライト

 

専売局のたばこのやにのにほひもちてつめたく秋の風がふくまど。

 

なつかしきおもひでありぬ目薬のしみたる白きいたみの奥に。

 

わが爪に魔が入りてふりそそぎたる月光にむらさきにかゞや出でぬ。

 

あすのあさは夜あけぬまへに発つわれなり母は鳥の骨など煮てあり。

 

鉄のさび赤く落ちたる砂利にたちてせわしく青き旗を振るひと。