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     明治44年1月より(1)

 

み裾野は雲低く垂れすゞらんの
白き花咲き  はなち駒あり。

 

這ひ松の青くつらなる山上の
たひらにそらよいま白み行く。

 

冬となりて梢みな黒む山上に
夕陽をあびて白き家建てり。

 

臥してありし
丘にちらばる白き花
黎明のそらのひかりに見出でし。

 

ひがしぞら
かゞやきませど丘はなほ
うめばちさうの夢をたもちつ。

 

家三むね
波だちどよむかれ蘆の
なかにひそみぬうす陽のはざま。

 

中尊寺
青葉に曇る夕暮の
そらふるはして青き鐘鳴る。

 

桃青の
夏草の碑はみな月の
青き反射のなかにねむりき。

 

まぼろしとうつつとわかずなみがしら
きほひ寄せ来るわだつみを見き。

 

河岸の杉のならびはふくらふの
声に覚ゆるなつかしさもつ。