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一〇五三

     朝

一九二七、五、三、

おい
けとばすな
けとばすな
なあんだたうたう
こんな色彩の鮮明なものが
この森ぢゅうにあるもんか
このうつくしい傘のカーミン
このまっしろけな脚とかさ
ぎっしりきれいな
菌糸の網さ
毒だってムスカリンだって
抽出すればうつくしさ結晶するさ
まあかうなっては
つめたい雨にとけるだけだ
おおい!
りんと引っぱれ!
りんと引っぱれったら!
山の上には
雲のラムネ、
つめたい雲のラムネが湧く

【一〇五三 〔おい けとばすな〕 下書稿(二)】