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九〇

風と反感

一九二五、二、一四、

狐の皮なぞのっそり巻いて
そんなおかしな反感だか何だか
真鍮いろの皿みたいなものを
風のなかからちぎって投げてよこしても
ごらんのとほりこっちは雪の松街道を
急いで出掛けて行くのだし
墓地にならんだ赭いひのきも見てゐるのだし
とてもいちいち受けつけてゐるひまがない
ははん
まちのうへのつめたいそらに
くろいけむりがながれるながれる

(本文=定稿)



(下書稿2)

九〇

風と反感

一九二五、二、一四、

狐の皮なぞのっそり巻いて
そんなおかしな反感だか何だか
真鍮いろの皿みたいなものを
風のなかからちぎって投げてよこしても
ごらんのとほりこっちは雪の松街道を
急いで出掛けて行くのだし
墓地にならんだ赭いひのきも見てゐるのだし
とてもいちいち受けつけてゐるひまがない
ははん
まちのうへのつめたいそらに
くろいけむりがながれるながれる



(下書稿1推敲後)

九〇

風と反感

一九二五、二、一四、

外套を着てなんぞのっそり立って
そんなおかしな反感だかなんだか
真鍮いろの皿みたいなものを
風のなかからちぎって投げてよこしても
雪の松街道を
急いで出掛けて行くのだし
墓地にならんだ赭いひのきも見てゐるのだし
とてもいちいち受けつけてゐるひまがない
ははん
まちのうへのつめたいそらに
くろいけむりがながれるながれる



(下書稿1推敲前)

九〇

風と反感

一九二五、二、一四、

そんなおかしな反感だかなんだか
真鍮いろの皿みたいなものを
風のなかからちぎって投げてよこしても
ごらんのとほりこっちは雪の松街道を
急いであるいてゐるのだし
向ふにならんだ赭いひのきも見てゐるのだし
とてもいちいち受けつけてゐるひまがない
まちのうへのつめたいそらに
くろいけむりがながれるながれる



(『銅鑼』掲載形 1926年8月1日)

風と反感

そんなおかしな反感だかなんだか
真鍮いろの皿みたいなものを
風のなかからちぎって投げてよこしても
ごらんのとほりこっちは雪の松街道を
急いであるいてゐるのだし
とてもいちいち受けつけてゐるひまがない
まちのうへのつめたいそらに
くろいけむりがながれるながれる