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三五

測候所

一九二四、四、六、

シャーマン山の右肩が
にはかに雪で被はれました
うしろの方の高原も
おかしな雲がいっぱいで
なんだか非常に荒れて居ります
  ……凶作がたうたう来たな……
杉の木がみんな茶色にかはってしまひ
わたりの鳥はもう幾むれも落ちました
  ……炭酸表をもってこい……
いま雷が第六圏で鳴って居ります
公園はいま
町民たちでいっぱいです

(本文=下書稿2)



(下書稿1推敲後)

三五

測候所幻聴

一九二四、四、六、

シャーマン山の右肩が
氷でもって被はれました
うしろの方の高原も
おかしな雲がいっぱいで
なんだか非常に荒れて居ります
  ……次の氷期がたうたう来たな……
杉の木がひどい茶色にかはってしまひ
  ……炭酸表をもってこい……
いま雷が第六圏で鳴って居ります
市民たちは
みんな向ふの黄いろな丘にあつまりました



(下書稿1推敲前)

三五

凶歳

一九二四、四、六、

早池峰と栗駒山と北上川(以下約七字不明)
(約九字不明)通ってゐます
    (凶作がたうたう来たな)
杉の木がみんな黒布にかはってしまひ
わたりの鳥はもう幾むれも落ちました
そいつは(数文字不明)だ
いま雷が第六天で鳴って居ります
百姓たちは
うしろの丘にのぼってゐました
    (数文字不明)はやく(以下不明)
    (三月までの海温表をもってこい)