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三四〇

〔あちこちあをじろく接骨木にはとこが咲いて〕

一九二五、五、二五、

あちこちあをじろく接骨木にはとこが咲いて
鬼ぐるみにもさはぐるみにも
青だの緑金だの
まばゆい巨きな房がかかった




そらでは春の爆鳴銀が
甘ったるいアルカリイオンを放散し
鷺やいろいろな鳥の紐が
ぎゅっぎゅっ乱れて通ってゆく




ぼんやりけぶる紫雲英の花簇と
茂らうとして
まづ赭く灼けた芽を出す桂の木

(本文=定稿)



(下書稿3推敲後)

三四〇

一九二五、五、二五、

あちこちあをじろく接骨木にはとこが咲いて
鬼ぐるみにもさはぐるみにも
青だの緑金だの
まばゆい巨きな房がかかった





そらでは春の爆鳴銀が
甘ったるいアルカリイオンを放散し
鷺やいろいろな鳥の紐が
ぎゅっぎゅっ乱れて通ってゆく





ぼんやりけぶる紫雲英の花簇と
茂らうとして
まづ赭く灼けた芽を出す桂の木



(下書稿3推敲前)

三四〇

一九二五、五、二五、

あちこちあをじろく接骨木にはとこが咲いて
鬼ぐるみにもさはぐるみにも
青だの緑金だの
まばゆい巨きな房がかかった
    (あくたを燃やすと蹄も焼けば 老いたる耕者のはるかに忿る)
そらでは春の爆鳴銀が
甘ったるいアルカリイオンを放散し
鷺やいろいろな鳥の紐が
ぎゅっぎゅっ乱れて通ってゆく
    (塵を燃やすと蹄も焼けば 老いたる耕者のしづかに忿る)
ぼんやりけぶる紫雲英の花簇と
茂らうとして
まづ赭く灼けた芽を出す桂の木



(下書稿2推敲後)

一九二五、五、二五、

あちこちあをじろくにはとこが咲いて
さはぐるみにも
青だの緑金だの
まばゆい巨きな房がかかった

そらでは春の爆鳴銀が
甘ったるいアルカリイオンを放散し
鷺やいろいろな鳥の紐が
ぎゅっぎゅっ乱れて通って行く、

ぼんやりけぶる紫雲英の花簇と
茂らうとして
まづ赭く灼けた芽を出すかつらの木



(下書稿2推敲前)

三四〇

瓔珞節

一九二五、五、二五、

にはとこが
月光いろに咲いたので
鬼ぐるみにも
まばゆい青や緑金や
瓔珞がみなかけられる

草を焼かうとして
馬か山羊かの蹄も焼けば 名誉村長わらってすぎる

そらでは春の爆鳴銀が
甘ったるいアルカリイオンを放散し
鷺やいろいろな鳥の紐が
ぎゅっぎゅっ乱れて通って行く

ぼんやりけぶる紫雲英の花簇と
茂らうとして
まづ赭く灼けた芽を出すかつらの木



(下書稿1推敲後)

三四〇

瓔珞節

一九二五、五、二五、

崖の上ではにはとこが
月光いろに咲き出すし
くるみの木には
まばゆい青や緑金や
瓔珞がみなかけられる

(悲しさが
 そのきゃらの樹の、
 尖った塔を刈り上げたり
 泉をきれいに畳んだりしたのだ)

そらでは春の爆鳴銀が
甘ったるいアルカリイオンを放散し
鷺やいろいろな鳥の紐が
ぎゅっぎゅっ乱れて通って行く

ぼんやりけぶる紫雲英の花簇と
茂らうとして、まづ赭く灼けた芽を出すかつらの樹



(下書稿1推敲前)

三四〇

瓔珞節

一九二五、五、二五、

にはとこが月光いろにさいたので、
鬼ぐるみにも瓔珞がかけられる

(悲しさが
 そのきゃらの樹の、
 尖った塔を刈り上げたのだ)

そらでは春の爆鳴銀が
甘ったるいアルカリイオンを放散し
鷺やいろいろな鳥の紐が
ぎゅっぎゅっ乱れて通って行く

ぼんやりけぶる紫雲英の花簇と
茂らうとしてまづ赭く灼けた芽を出すかつらの樹