截られた根から青じろい樹液がにじみ
あたらしい腐植のにほひを嗅ぎながら
きらびやかな雨あがりの中にはたらけば
わたくしは移住の
雲はぐらぐらゆれて馳けるし
梨の葉にはいちいち精巧な葉脈があって
短果枝には雫がレンズになり
そらや木やすべての景象ををさめてゐる
わたくしがここを環に掘ってしまふあひだ
その雫が落ちないことをねがふ
なぜならいまこのちいさなアカシヤをとったあとで
わたくしは
えりおりのシャツやぼろぼろの上着をきて
企むやうに肩をはりながら
そっちをぬすみみてゐれば
ひじゃうな
わたくしはゆるされるとおもふ
なにもかもみんなたよりなく
なにもかもみんなあてにならない
これらげんしゃうのせかいのなかで
そのたよりない
こんなきれいな露になったり
いぢけたちいさなまゆみの木を
豪奢な織物に染めたりする
そんならもうアカシヤの木もほりとられたし
いまはまんぞくしてたうぐわをおき
わたくしは待ってゐたこひびとにあふやうに
それはひとつの
もう水いろの過去になってゐる