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百合を掘る

百合を掘ると  唐鍬トガをかたぎつ
ひと恋ひて   林に行けば
濁り田に    白き日輪
くるほしく   うつりゆれたる

友らみな    大都のなかに
入学の     試験するらん
われはしも   身はうち疾みて
こゝろはも   恋に疲れぬ

森のはて    いづくにかあれ
子ら云へる   声ほのかにて
はるかなる   地平のあたり
汽車の音    行きわぶごとし

このまひる   鳩のまねして、
松森の     うす日のなかに、
いとちさき   百合のうろこを、
索めたる    われぞさびしき

(本文=下書稿推敲後)



(下書稿推敲前)

百合を掘る

百合を掘ると  唐鍬トガをかたぎつ
ひと恋ひつ   林に行けば
濁り田に    白き日輪
くるほしく   うつりてゆるゝ

友らみな    大都のなかに
入学の     試験するらん
われはしも   身はうち疾みて
こゝろはも   恋に疲れぬ

森のはて    いづこにもあれ
子ら云へる   声ほのかにて
はるかなる   地平のあたり
汽車の音    行きわぶごとし

このまひる   鳩のまねして
松森の     うす日のなかに
いとちさき   百合のうろこを
らびしくも   われは索めたる



(先駆形短歌)

     ※

144  濁り田に
   白き日輪うつるなり
   百合を掘らんと
   林めぐれば

     ※

145  友だちの
   入学試験ちかからん
   林は百合の
   嫩芽萌えつゝ

     ※

146  またひとり
   はやしに来て鳩のなきまねし
   かなしきちさき
   百合の根を掘る。