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〔二川こゝにて会したり〕

(二川こゝにて会したり)
(いな、和賀の川水みづ雪代ふ
夏油ゲタウのそれの十なれば
その川ここに入ると云へ)

藍と雪とのうすけぶり
つらなる尾根のかなたより
夏油ゲタウの川は巌截りて
ましろき波をながしきぬ

(本文=下書稿2推敲後)



(下書稿2推敲前)

二川こゝにて会すとや
いな、和賀の川水みづ雪代ふ
夏油ゲタウのそれの十なれば
その川ここに入ると云へ

  げにまつすべき大理石なめいし
  層にもましていよいよに
  わが求むるはまことのことば
  雨の中なる真言なり

藍と雪とのうすけぶり
つらなる尾根のかなたより
夏油ゲタウの川は巌截りて
ましろき波をながしくる



(下書稿1)

雑木と雪とのうすけぶり
つらなる尾根のかなたより
夏油の川は岩ほりて
ましろき波をながしくる

二川こゝにて会すとや
いなさにあらず和賀の水
夏油のそれの十なれば
かの川ここに入るといへ

抹して西に送るべき
かの大理なめ石のつらなりを
この川筋に求めんは
むなしきこととおもはるゝ



(下書稿 「冬のスケッチ」より)

  ※

和賀川のあさぎの波と
天末のしろびかり
緑青の東の丘をわれは見たり

(第9葉第3章)

  ※

夏油の川は岩ほりて
浅黄の波を流したり
雑木と雪のうすけぶり
ましろき波を鳴らしたり。

(第10葉第3章)

  ※

げに和賀川よ赤さびの
けはしき谷の底にして
春のまひるの雪しろの
浅黄の波をながしたり。

(第11葉第3章)

  ※

和賀川の浅葱の雪代水に
からだのりだす栗の木ら
その根は赤銹によりて養はる。

(第11葉第4章)