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〔われらひとしく丘に立ち〕

われらひとしく丘に立ち
青ぐろくしてぶちうてる
あやしきもののひろがりを
東はてなくのぞみけり
そは巨いなる塩の水
海とはおのもさとれども
伝へてきゝしそのものと
あまりにたがふこゝちして
たゞうつゝなるうすれ日に
そのわだつみの潮騒えの
うろこの国の波がしら
きほひ寄するをのぞみゐたりき

(本文=下書稿3推敲後)



(下書稿3推敲前)

われらひとしく丘に立ち
青ぐろくしてぶちうてる
あやしきもののひろがりを
東はてなく見しかども
名を言はんさへ恐ろしく
げにうつゝともわかずして
そのわだつみの潮騒えの
うろこの国の波がしら
きほひ寄するをのぞみゐたりき



(下書稿2)

われらひとしく丘に立ち
青ぐろくしてぶちうてる
あやしきもののひろがりを
東はてなく見しかども
名を言はんさへ畏ろしく
げにまぼろしとうつつともわかず
そのわだつみの潮の国のなみがしら
きほひ寄するをのぞみゐたりき



(下書稿1推敲後=歌稿B短歌10の余白に記載)

ひとしくわれら丘に立ち
げに青ぐろくしてぶちうてる
あやしきもののひろがりを
東はてなく見しかども
なみがしらきほひ寄するを
あやしみゐたり



(下書稿1推敲前=歌稿B短歌10の余白に記載)

われらそのとき山上に立ち
まぼろしとうつつともわかず
わだつみの潮の国の
なみがしらきほひ寄せ来るを
はじめて見たり



(先行形短歌=歌稿B短歌10)

まぼろしとうつつともわかずなみがしら
きほひ寄せ来るわだつみを見き。