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一〇七六

病中幻想

一九二七、六、一三、

罪はいまやまひにかはり
たよりなくわれは騰りて
野のそらにひとりまどろむ

太虚ひかりてはてしなく
身は水素より軽ければ
また耕さんすべもなし

せめてはかしこ黒と白
立ち並びたる積雲を
雨と崩して堕ちなんを

(本文=下書稿2推敲後)



(下書稿2推敲前)

一〇七六

囈語

一九二七、六、一三、

罪はいまやまひにかはり
たよりなくわれは騰りて
河谷のそらまどろめり

太虚ひかりてはてしなく
身は水素より軽ければ
乾ける土をのぞみつゝ
雨と生まれんすべもなし



(下書稿1)

一〇七六

囈語

一九二七、六、一三、

瞋いまやまひにかはり
われはたよりなく騰りて
河谷のそらに横はる
太虚ひかりてはてしなく
身は水素より軽ければ
雨とうまれんすべもなく
かなしくそらの(数文字分空白)を疾む



(先駆形口語詩「一〇七六 囈語」)

一〇七六

囈語

一九二七、六、一三、

憤懣はいまやまひにかはり
わたくしはたよりなく騰って
河谷のそらに横はる
しかも
水素よりも軽いので
ひかってはてなく青く
雨に生れることのできないのは
何といふいらだゝしさだ