目次へ  縦書き

職員室

歪むガラスのかなたにて
藤をまとへるさいかちや
西は雪ぐも亘せるに
一ひらひかる天の青

ひるげはせわしく事終へて
なにかそぐはぬひとびとの
暖炉を囲みあるものは
その石墨をこそげたり

業を了へたるわかものの、
官にあるは卑しくて、
一たび村に帰りしは
その音づれも聞えざり

たまさかゆれしひばの間を
茶羅紗の肩をくすぼらし
校長門を出で行けば、
いよよにゆがむガラスなり

(本文=下書稿2推敲後)



(下書稿2推敲前)

職員室

西は雪ぐも亘せるに
一きれひかる天の白
冬のさいかちふぢもつれ
つめたき玻璃もゆがみたり

ひるげせわしく終へたれば
ひとびとのなにかそぐはで
石墨の暖炉にきたる


たまさかゆれしひばの間を
茶羅紗の肩をくすぼらし
校長門を出で行けば、
いよよにゆがむガラス窓なり



(下書稿1「冬のスケッチ」第31葉 推敲後)

職員室

西は雪ぐも亘せるに
一きれひかる天の白
冬のさいかちふぢもつれ
つめたき玻璃も歪みたり

ひるげせわしく終へたれば
ひとびとの何かそぐはずて
石墨塗れる炉にきれる
西は雪くも、天の白

たまさかゆれしひばの間を
茶羅紗の肩をくすぼらし
校長門を出で行けば
いよよゆがめるこのガラス窓



(下書稿1「冬のスケッチ」第31葉 推敲前)

     ※

西は黒くもそらの脚
つめたき天の白びかり
からまるはさいかちのふぢ
埃はかゝるガラス窓

つめたくひるげを終へ
ひとびとのこゝそぐはず
西の黒くも、しろびかり
暖炉は石墨の粉まぶれ

たまゆらにひのきゆらげば
校長の広き肩はゞ
茶羅紗をくすぼらし門を出づ
埃はかゝるガラス窓。