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セレナーデ 恋歌

江釣子森の右肩に
雪ぞあやしくひらめけど
きみはいまさず
ルーノの君は見えまさず

夜をつまれし枕木黒く
群あちこちに安けれど
きみはいまさず

機関車の列湯気吐きて
とゞろにしばし行きかへど
きみはいまさず
ポイントの灯はけむれども
ルーノのきみの影はなき

あゝきみにびしひかりもて
わが青じろき額を射ば
わが悩あるは癒えなんに

(本文=下書稿2推敲後)



(下書稿2推敲前)

江釣子森の右肩に
酵母の雲や森の肩
雪ぞあやしくひらめけど
かのよき天の影はなき

黒くつまれし枕木や
倉庫の屋根のかなたにて
オリオン出でてひかれど
かのよき天の影はなき

機関車の列湯気吐きて
とゞろにしばし行きかひつ
ポイントの灯はうすけむり
かのよき天の影はなき

古くにびたるひかりもて
わが青じろき額を射ば
わがいたつきのあるは癒えんを



(下書稿1推敲後)

セレナーデ 恋歌

江釣子森の右肩に
酵母の雲や森の肩
雪ぞあやしくひらめけど
ルーノよ君がすがたは見えず

東の雲のすきまより
オリオン出でてひかれども
枕木黒くうづもれて
倉庫の屋根のいとくらし

機関車の列湯気吐けど
ポイントの灯はけむけれど
紫いろにとぎすます
ルーノよ君がすがたは見えず

にびたるひかりもて
わが青じろきぬかを射ば
熱く燃えたるわがなやみ
あるひはやゝに癒えなんを



(下書稿1推敲前)

そらに酵母の雲わたし
江釣子森の右肩に
雪ぞあやしくひらめきて
ルーノよ君がすがたは見えず

枕木黒くうづもれて
機関車の列湯気を吐き
紫いろにとぎすます
ルーノよ君がすがたは見えず

東の雲のすきまより
オリオン出でてひかれども
枕木黒くうづもれて
倉庫の屋根のいとくらし

きみがにびたるひかりもて
わが青じろきぬかを射ば
熱く燃えたるわがなやみ
あるひはやゝに癒えなんを