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〔卑屈の友らをいきどほろしく〕

卑屈の友らをいきどほろしく
粘土地二片をはしりてよぎり
崖にて青草黄金なるを知り
のぼりてかれ草黄なるをふめば
白雪きららに落ち来るものか
一列赤赤ならべるひのき
ふたゝび卑屈の友らをおもひ
たかぶるおもひは雲にもまじへ
かの粘土地なるかの官庁に
灰鋳鉄のいかりをなげよ

(本文=下書稿3推敲後)



(下書稿3推敲前)

卑屈の友らにいかりをいだき
かの粘土地をはしりてよぎり
崖にて青草黄金なるを知り
崖をのぼりてかれ草をふめば
雪きららかに落ち来りけり
一列赤赤ならべるひのき
ふたゝび卑屈の友らをおもひ
かの粘土地をかの崖にとり
灰鋳鉄のいかりをなげよ



(下書稿2推敲後)

なかばは風のこゝちして
ひとひらの粘土地を過ぎ
がけにて青草燃ゆるをおぼえ
がけをのぼりて枯草をふめば
いまきららかに落ち来る雪。

ひとつらひのきうち黝み
浮雲はるかに過ぎれども
かの卑屈なる朋党に
灰鋳鉄の憤りは去らず



(下書稿2推敲前)

灰鋳鉄のいかりをいだき
われひとひらの粘土地を過ぎ
がけの下にて青草の黄金なるを見
がけをのぼりてかれ草をふめば
雪きららかに落ち来りけり

あゝサイプレス一列黒くならべるを
きみをおもひておどる胸かな



(下書稿1=「冬のスケッチ」第44葉4章)

灰いろはがねのいかりをいだき
われひとひらの粘土地を過ぎ
がけの下にて青くさの黄金を見
がけをのぼりてかれくさをふめり
雪きららかに落ち来れり。