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水部の線

きみがおもかげうかべんと
夜を仰げばこのまひる
蝋紙に描きし北上の
水線青くひかるなれ

竜や棲みしと伝へたる
このこもりぬの辺を来れば
夜ぞらに泛ぶ水線の
火花となりて青々と散る

(本文=下書稿推敲後)



(下書稿推敲前)

並樹の松を急ぎ来て
きみがおもかげ うかべんと
まなこつむれば
まひる蝋紙に刻みゐし
北上川の 水線ぞ
青々としてひかるなれ

このこもり沼の夜の水に
あつきひたひをぬらさんと
夜草をふめば 幾すじの
北上川の水線は
火花となりて青々と散る



(先駆形口語詩「三一三 産業組合青年会」)

三一三

産業組合青年会

一九二四、一〇、五、

祀られざるも神には神の身土があると
あざけるやうなうつろな声で
さう云ったのはいったい誰だ 席をわたったそれは誰だ
  ……雪をはらんだつめたい雨が
    闇をぴしぴし縫ってゐる……
まことの道は
誰が云ったの行ったの
さういふ風のものでない
祭祀の有無を是非するならば
卑賤の神のその名にさへもふさはぬと
応へたものはいったい誰だ いきまき応へたそれは何だ
  ……ときどき遠いわだちの跡で
    水がかすかにひかるのは
    東に畳む夜中の雲の
    わづかに青い燐光による……
部落部落の小組合が
ハムをつくり羊毛を織り医薬を頒ち
村ごとのまたその聯合の大きなものが
山地の肩をひととこ砕いて
石灰岩末の幾千車かを
酸えた野原にそゝいだり
ゴムから靴を鋳たりもしやう
  ……くろく沈んだ並木のはてで
    見えるともない遠くの町が
    ぼんやり赤い火照りをあげる……
しかもこれら熱誠有為な村々の処士会同の夜半
祀られざるも神には神の身土があると
老いて呟くそれは誰だ