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〔エレキに魚をとるのみか〕

エレキに魚をとるのみか
鳥さへ犯すしれをのこ
捕らでやまんと駐在の
戸田巡査こそいかめしき

まこと楊に磁の乗りて
小鳥は鉄のたぐひかや
ひとむれさっと落ち入りて
しらむ梢ぞあやしけれ

(本文=下書稿2推敲後)



(下書稿2推敲前)

      エレキに魚をとるのみか
あまつみそらを翔りゆく
鳥さへ犯すしれをのこ
捕らでやまんと駐在の
戸田巡査こそいかめしき

まこと楊に磁の乗りて
もずに鉄のたぐひかや
ひとむれさっと落ち入りて
しらむ梢ぞあやしけれ



(下書稿1推敲後2)

楊林

黒衣に赤き鼻なして
しげに唾はく判事さばきて
いきどほろしくわが行けば
みづうみ淡くたゝえたり

一むら立てるはこやなぎ
幹はかぼそく葉は堅き
風が送れる偏光に
しらしらしらといらだてり

判事さばきてはたと立ちどまり
なれかの状を知れるやと
いと権柄のさまなして
やなぎのうれを指させり

エレキを用ひ鳥とれる
しれのをのこら出で来ぬと
黒衣に赤き鼻なせる
わがさばきては唾はけり

水素の湖に風起り
やなぎはみだれ交錯し
また明滅と乱転の
眼もくらくゆすれたり

鳥うちなかぬそのことの
エレキ企めるしるしぞと
ふたゝび唾をうちはきて
わがさばきては眉寄せぬ

ふりさけみればその楊
天末よりの側圧に
その身斜めに立ちけるは
鳥はいよよにもだしゐき

まこと楊に磁のありて
小鳥は鉄の類かや
いとかしましくなきわたり
そら翔けぬくる一群の
にはかにさっと引かされて
楊の中に落ちいれば
楊は白くかはりけり



(下書稿1推敲後1)

楊林

黒衣に赤き鼻なして
しきりに唾きするひとと
いきどほろしくわが行けば
みづうみ淡くたゝえたり

一むら立てるはこやなぎ
幹はかぼそく葉はにぶき
風が送れる偏光に
その葉をゆすり迎えんへたり

判事さばきてつとに立ちどまり
なれかの鳥を知るらんと
いと権柄のさまなして
そらのかなたを指させり

エレキを用ひ鳥とれる
しれのをのこら出で来ぬと
黒衣に赤き鼻なせる
わがさばきては唾はけり

水素の湖に風起り
やなぎはみだれ交錯し
また明滅と乱転の
眼もくらくゆすれたり

鳥うちなかぬそのことの
エレキ企めるしるしぞと
ふたゝび唾をうちはきて
わがさばきては眉寄せぬ

ふりさけみればその楊
天末よりの側圧に
その身斜めに立ちけるは
鳥はいよよにもだしけり

まことに楊は磁石にて
小鳥は鉄に成りしらん
そら翔けぬくる一群を
楊ぞ引きて落しけり



(下書稿1推敲前)

楊林

いきどほろしくわが行けば
みづうみ軽くたゝえたり

一むら立てるはこやなぎ
天末よりの側圧は
かぼそき幹をうちゆがめ
風がともせる偏光は
その葉を鈍きブリキと化せり

いきどほろしくわが行けば
天をすぎたる化鳥あり
さびしく立てるはこやなぎ
いま明滅し交錯し
ひかりゆすりて乱転し
喪神すでにそこにあり
眼もくらくむらがれり

     愛と憎の二相系
     氷と火との交互流

いきどほろしくわが行けば
水素の湖に波だてり


※下書稿2は下書稿1の裏面。この上部に以下のメモがある。

   童話にうつす
毒もみのすきな署長さん
   毒もみ
    秋となる
  楊と鳥となる