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文語詩100/99

〔西のあをじろがらん洞〕

西のあをじろがらん洞、   一むらゆげをはきだせば、
ゆげはひろがり環をつくり、 雪のお山を越し申す。

わさび田ここになさんとて、 枯草原にこしおろし、
たばこを吸へばこの泉、   たゞごろごろと鳴り申す。

それわさび田に害あるもの、 一には野馬 二には蟹、
三には視察、四には税、   五は大更の酒屋なり。

山を越したる雲かげは、   雪をそゞろにすべりおり、
やがては藍の松こめや、   虎の斑形を越え申す。



(下書稿推敲後2)

わさび田

西のあをじろがらん洞
一むらゆげをはきだせば
ゆげはひろがり環をつくり
雪のお山を越し申す

わさび田ここになさんとて
枯草原にこしおろし
たばこを吸へばこの泉
たゞごろごろと鳴り申す

それわさび田に害あるもの
一には野馬 二には蟹
三には視察 四には税
五は大更の酒屋なり

山を越したる雲かげは
雪をそゞろにすべりおり
やがては藍の松こめや
虎の斑形を越え申す



(下書稿推敲後1)

わさび田

Tourquoisの板と見申せど
まことはひどいがらん洞
うす青じろの西ぞらに
雪のお山は立ち申す

枯草原にこしおろし
たばこを吸へばこの泉
たゞごろごろと鳴り申す

西のあをじろがらん洞
一むらゆげをはきだせば
ゆげはひろがり環をつくり
もつれて山を越し申す

虎斑の上のがらん洞
もつれた湯気を吸ひ込めば
鵞王のごとくしろびかり
雪のお山は立ち申す



(下書稿推敲前)

Tourquoisの板と見申せど
まことはひどいがらん洞
うす青じろの西ぞらに
雪のお山は立ち申す
   鵞王のごとくしろびかり
   雪のお山は立ち申す
烏一疋とびあがり
谷のこちらをすぎ行けば
烏が二疋とびあがり
ならんで谷を截って行く

西のあをじろがらん洞
一むらゆげをはきだせば
ゆげはひろがり環をつくり
またももつれて山を越す

北面は藍の松をこめ
熔岩流のあと光り
雪に落ちたる雲のかげ
しづかにすべり落ちてくる

西のあをじろがらん洞
もつれた湯気を吸ひ込んで
ふっとひかれば日はしづか