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文語詩100/95

〔商人ら やみていぶせきわれをあざみ〕

商人ら やみていぶせきわれをあざみ、
川ははるかの峡に鳴る。

ましろきそらの蔓むらに、 雨をいとなむみそさゞい、
黒き砂糖の樽かげを、   ひそかにわたる昼の猫。

病みに恥つむこの郷を、
つめたくすぐる春の風かな。



(定稿推敲前)

商人ら やみていぶせきわれをあざけり、
川ははるかの峡に鳴る。

ましろきそらの蔓むらに、 雨をいとなむみそさゞい、
黒き砂糖の樽かげを、   ひそかにわたる昼の猫。

病みに恥つむこの郷を、
つめたくすぐる春の風かな。



(「〔打身の床をいできたり〕」下書稿4)

米穀肥料商

打身のとこをいできたり
箱の火鉢にうちゐする

粉のたばこをひねりつゝ
見あぐるそらの雨もよひ

黒き砂糖の樽かげを
ひそかにわたるひるの猫

人なき店の春寒み
川ははるかの峡に鳴る



※本稿は「〔打身の床をいできたり〕」の途中段階、下書稿4から、 定稿用紙に清書されたものである。