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文語詩100/83

〔うたがふをやめよ〕

うたがふをやめよ、  林は寒くして、
いささかの雪凍りしき、  根まがり杉ものびてゆるゝを。

胸張りて立てよ、  林の雪のうへ、
青き杉葉の落ちちりて、  空にはあまた烏なけるを。

そらふかく息せよ、  杉のうれたかみ、
烏いくむれあらそへば、  氷霧ぞさっとひかり落つるを。



(下書稿3推敲後2)

いららくをやめよ林はさむくして
いささかの雪凍りしき
根まがり杉ものびてたてるを

胸張りて立てよ林の雪のうへ
青き杉葉の落ちちりて
そらにはあまたからすなけるを

そらふかく息せよ杉のうれたかみ
烏いくむれあらそへば
氷霧ぞさっとひかり落つるを



(下書稿3推敲後1)

ナリトナリアナロ林はさむくして
いささかの雪凍りしき
根まがり杉ものびたつを

アナロナビクナビ林の雪のうへ
青き杉葉の落ちちりて
そらにはあまたからすなけるを

ナビクナビアリナリ杉のうれたかみ
烏いくむれあらそへば
氷霧こそさっとひらめき落つれ



(下書稿3推敲前)

やめよ林はさむくして
いささかの雪凍りしき
根まがり杉ものびたつを

立てよ林の雪のうへ
青き杉葉の落ちちりて
そらにはあまたからすなけるを

杉のうれたかみ
烏いくむれあらそひて
霧こそさっとひらめき



(下書稿2推敲後)

ためらふをやめよ林はさむくして
いささかの雪凍りしき
根まがり杉ものびたつを

胸はりて立てよはやしの雪の上
青き杉葉の落ちちりて
そらにはあまたからすなけるを

うち仰ぎ息せよ森の上のそら
烏幾むれあらそへば
さと落ち来る霧もあり



(下書稿2推敲前)

かなしみをやめよ林はさむくして
いささかの雪凍りしき
根まがり杉はのびたつを

かなしみをされよはやしの雪の上
青き杉葉の落ちちりて
からすひかりのそらになけるを

かなしみをやめよ林の上のそら
日輪しろくかゞやきて
烏幾むれあらそへば
さと落ち来る霧もあり



(下書稿1「冬のスケッチ」 第17葉、38葉))

かなしみをやめよ
はやしはさむくして
からすそらにてあらそへるとき
あたかも気圏飽和して
さとかゝれる 氷の霧。