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文語詩100/68

山躑躅

こはやまつつじ丘丘の、栗また楢にまじはりて、熱き日ざしに咲きほこる。

なんたる冴えぬなが紅ぞ、朱もひなびては酸えはてし、紅土ラテライトにもまぎるなり。

いざうちわたす銀の風、無色の風とまぐはへよ、世紀の末の児らのため。

さは云へまことやまつつじ、日影くもりて丘ぬるみ、ねむたきひるはかくてやすけき。



(定稿推敲前)

山躑躅

こはやまつつじ丘丘の、栗また楢にまじはりて、ぬるき日ざしに咲きほこる。

なんたる冴えぬかの紅ぞ、朱もひなびては酸えはてし、紅土ラテライトにもまぎるなり。

いざうちわたす銀の風、無色の風とまぐはへよ、世紀の末の児らのため。

さは云へまことやまつつじ、日影くもりて丘ぬるみ、ねむたきひるはかくてやすけき。



(下書稿2推敲後)

こはやまつつじ丘丘の
栗また楢にまじはりて
日ざしのなかる咲きほこる

なんたる冴えぬかの赤ぞ
朱もひなびては酸えはてし
紅土ラテライトにもまぎるなり

いまうちわたす銀の風
無色の風と結婚まぐひせよ
世紀の末の児らのため

さは云へまことやまつゝじ
日影くもりて丘ぬるみ
ねむたきひるはかくてやすけき



(下書稿2推敲前)

こはやまつつじ丘丘の
栗また楢にまじはりて
なほ咲きほこるすがたなり

なんたる冴えぬかの朱ぞ
朱もひなびてはひたすらに
あかつちにさへまぎるらん

山はるかなる群青や
丘うちわたす銀の風
無色の風と結婚まぐひせよ
世紀ののちの児らのため

さらずばむしろ紫黒なる
あけびの藪に身を寄せて
怪しき幻暈をなせよかし



(下書稿1推敲後2)

こはやまつゝぢ丘丘の
ならまた栗にまじはりて
なほ咲きほこるすがたなり
何たる冴えぬかの赤ぞ
朱もひなびてはひたすらに
赭土にさへまぎるらん
   げに丘わたる銀の風
   無色の風と結婚せよ
   藍いろまた
   世紀の后のその風のため



(下書稿1推敲後1)

こはやまつゝぢ丘丘の
ならまた栗にまじはりて
なほ咲きほこるすがたなり
何たる冴えぬかの赤ぞ
朱もひなびてはひたすらに
赭土にさへまぎるらん
   げに丘わたる銀の風
   無色の風と結婚せよ
   藍いろまた
   世紀の后のその風のため
さらずばむしろ紫黒なる
あけびの類の葉を添へて
怪しき幻暈模様をつくれ
いよいよ更にやむなくば
すべてこれらを截りて去るべし



(下書稿1推敲前)

こはやまつゝぢいちめんの
ならまた栗にまじはりて
車窓はるかに点じたり
何たる冴えぬかの赤ぞ
朱もひなびてはひたすらに
赭土にさへまぎれたり
   げにやまつゝぢ
   銀いろまたは無色の風と結婚せよ
   なんぢが末の子らのため
これらの群を燃さんには
そのいちいちの株に並べ
hale growと白熱の
アザリアをこそ植えぬべし
さなくばむしろ紫黒なる
(約5文字空白)の葉を添へて
怪しき幻暈模様をつくれ
いよいよ更にやむなくば
すべてこれらを截りて去るべし



(先駆形口語詩「装景者」)

装景者

さう、
やまつゞじ!
栗やこならの露にまじって
丘いっぱいに咲いてくれたが、
それも相当咲きほこったるすがたであるが
さあきみどうしたもんだらう

なによりもあの冴えない色だ
朱もあすこまで没落すると
もしそちこちにのぞき出た
赭土にさへまぎれてしまふ

どうしてこれを(以下空白)