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文語詩100/61

公子

桐群に臘の花洽ち、     雲ははや夏を鋳そめぬ。

熱はてし身をあざけらく、  軟風のきみにかぐへる。

しかもあれ師はいましめて、 点竄の術得よといふ。

桐の花むらさきに燃え、   夏の雲遠くながるゝ。



(下書稿2推敲後)

手簡

桐群に臘の花洽ち
雲ははや夏を鋳そめぬ

熱はてし身をあざけらく
軟風のきみにかぐへる

しかもあれ師はいましめて
点竄の術得よといふ

桐の花むらさきに燃え
夏の雲遠くながるゝ



(下書稿2推敲前)

桐の木に青き花さき
雲はいま夏型を鋳たり

熱はてし身はあたらしく
点竄のわざははかなき

しかもあれ師は戒めて
解析の術得よといふ

桐の花むらさきに燃え
夏の雲遠くながるゝ



(下書稿1推敲後−2)

桐の木に青き花さき
雲ははや 夏の型なす

熱はてし身はあたらしく
点竄の術ははかなし

桐の花 むらさきに燃え
夏の雲 遠くながるゝ



(下書稿1推敲後−1)

桐の木に青き花さき
雲はいま 夏の型なす

熱はてし身はあたらしく
ひとおもふこころはくるし

あるときは遠き夜の火に
たゞともに行かんとねがひ
あるときはたゞきみにのみ
さちあれとうち祈りけり

きみがかたさらにのぞめば
桐の花 むらさきに燃え
夏の雲 遠くながるゝ



(下書稿1推敲前)

桐の木に青き花さき
雲はいま 夏型をなす

熱疾みし身はあたらしく
きみをもふこころはくるし

父母のゆるさぬもゆゑ
きみわれと 年も同じく
ともに尚 はたちにみたず
われはなほ なすこと多く
きみが辺は 八雲のかなた

わが父は わが病ごと
二たびのいたつきを得ぬ
火のごとくきみをおもへど
わが父にそむきかねたり

はるばるときみをのぞめば
桐の花むらさきに燃え
夏の雲 遠くながるゝ



(先駆形短歌「歌稿B」116、117)

116
風木木の
梢によどみ
桐の木に花さく
いまはなにをかいたまん

 

117
雲はいまネオ夏型にひかりして桐の花桐の花やまひ癒えたり