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文語詩100/58

化物丁場

すなどりびとのかたちして、 つるはしふるふ山かげの、
化物丁場しみじみと、  水湧きいでて春寒き。

峡のけむりのくらければ、 山はに円く白きもの、
おそらくそれぞ日ならんと、 親方ボスもさびしく仰ぎけり。



(下書稿4推敲後)

すなどりびとのかたちして
つるはしふるふ山かげの
化物丁場しみじみと
水湧きいでて春寒き

峡のけむりのくらければ
山はに円く白きもの
おそらくそれぞ日ならんと
親方ボスもさびしく仰ぎけり



(下書稿4推敲前)

すなどりびとのかたちして
つるはしふるふ山かげの
化物丁場しみじみと
水うち湧きて岩赭し

峡のけむりのさむければ
山はに円く白きもの
おそらくそれぞ日ならんと
ひとびと仰ぎはたらけり



(下書稿3)

すなどりびとのかたちして
はだれの雪に鶴嘴ハシふるふ
峡はけむりのあしたかな

成りてはやがて崩るてふ
化物ばけもの丁場てふばしみじみと
水洌くして春ちかし

山はにまろく白きもの
恐らくかれぞ日ならんと
ひとびと仰ぎはたらけり



(下書稿2推敲後)

すなどりびとのすがたして
はだれの雪に鶴嘴はしふるふ
峡は水霧のあしたかな

きりぎしの下雪代の
浅葱の水にうち沿ひて
小き行りをになひたる
鉱夫さびしく行きすぐる

成りてはやがて崩るてふ
化物丁場しみじみと
春遠くして巌赤し

水うちわきて
山はに円くけぶるものもの
恐らくかれぞ日ならんと
ひとびとあふぎはたらけり



(下書稿2推敲前)

栗うちけぶる山裾に
赤きシャツまた荒縞の
すなどり人のかたちして
つるはしふるふ人の群

ひとひすぐなる崖成せば
その夜はやがてはみ出づる
化物丁場しみじみと
春ちかくして雲さむし

雪げの山のゆきぞらに
一点白くひかるもの
恐らくそれは日ならんと
ひとびとあふぎはたらけり



(下書稿1推敲後)(「冬のスケッチ」第10葉、第11葉)

雪融の山の雪ぞらに
一点白くひかるもの
そは恐らくは日輪なりなんと
赤き毛布のシャツ着たる
ひとびとあふぎはたらけり。



(下書稿1推敲前)(「冬のスケッチ」第10葉、第11葉)

雪融の山の雪ぞらに
一点白くひかるもの
恐らくは白日輪なりなんを
ひとびとあふぎはたらけり。