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文語詩100/57

車中

稜堀山の巌の稜、  一を宙に旋るころ

まなじり深き伯楽はくらくは、 しんぶんをこそひろげたれ。


地平は雪と藍の松、 氷を着るは七時雨、

ばらのむすめはくつろぎて、 けいとのまりをとりいでぬ。



(下書稿5推敲後)

地平は雪と藍の松
氷を着るは七時雨
ばらのむすめはくつろぎて
けいとのまりをとりいでぬ

稜堀山の巌の稜
一木ひときを宙に旋るころ
まなじりふかきはくらくは
しんぶんをこそひらげたれ



(下書稿5推敲前)

地平は雪と藍の松
氷を着るは七時雨
ばらのむすめはくつろぎて
けいとのまりをとりいだす

稜堀山の巌の稜
一木ひときを宙にうかぶれば
まなじりふかきはくらくは
しんぶんをこそひらぐなれ



(下書稿4推敲後)

地平は雪と藍の松
氷を着るは七時雨

ばらのむすめは隅に居て
青きマントをひらめかし
バザーの代を


まなじり深き伯楽は
狐の皮をくつろげつ
しんぶんをこそさゝげたれ



(下書稿4推敲前)

地平は雪と藍の松
氷を着るは七時雨

ばらのむすめはたゞひとり
青きマントをひらめかし
バザーの代を


まなじり深き伯楽の
狐の皮をくつろげて
しんぶんを読みいづるなれ



(下書稿3推敲後)

ぷくぷくすわるばらむすめ
冴え冴えひかる青マント

高洞山に雪うづみ
谷には影のたゝむころ

狐の皮をくつろげて
しんぶんを見る村の医師



(下書稿3推敲前)

ぷくぷくすわるばらむすめ
冴え冴えひかる青マント

高洞山に雪うづみ
谷には影のたゝむころ

狐の皮としんぶんし
開化郷士の眉ふかき



(下書稿2推敲後)

地平は雪と藍の松
氷を着るは七時雨
ばらのむすめはマントより
けいとのまりをとりいだす

燧堀山の巌の稜
一木を宙にうかぶれば
まなじりふかきはくらくは
しんぶんをこそひろぐなれ



(下書稿2推敲前)

ばらのむすめはマントより
けいとのまりをとりいだし
まなじりふかきはくらくは
きつねのかはをくつろげて
しんぶんをこそひろぐなれ



(下書稿1推敲後)

 高洞山に雪うづみ
 谷には青き影堕ちぬ。
眼じり深く胸濶く
狐皮をうなじに副へしひと
ちさきむすめをだき来り
席におろして微笑せり

 地平は雪と藍の松
 氷を着るは七時雨
ぷくぷくすわるばらむすめ
冴え冴えひかる青マント
開化郷士の頬つけて
新紙を高くひろげたる



(下書稿1推敲前)

高洞山に雪うづみ
谷には青き影堕ちるころ
眼じり深く
狐を首にまきつけし
開化郷士と見ゆるひと
ちさきむすめをだき来り
椅子におろして微笑せり

地平は雪と藍の松
氷を着るは七時雨
鬼越山の尖れる稜
車窓かすかに過ぎ行けば
むすめほのかにわらひせり