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文語詩100/53

硫黄

猛しき現場監督の、   こたびも姿あらずてふ、

元山あたり白雲の、   澱みて朝となりにけり。


青き朝日にふかぶかと、 小馬ポニーうなだれ汗すれば、

硫黄は歪み鳴りながら、 か黒き貨車に移さるゝ。



(下書稿3推敲後)

硫黄

猛しき現場監督の
またしも姿あらずてふ
元山あたり白雲の
澱みて朝となりにけり

青き朝日にふかぶかと
小馬ポニーうなだれ汗すれば
硫黄は歪み鳴りながら
か黒き貨車に移さるゝ



(下書稿3推敲前)

硫黄

性悪しかりしき監督の
ふたゝび行衛知らぬてふ
元山あたり白雲の
澱みて朝となりにけり

青き朝日にふかぶかと
馬はうなだれ汗すれば
硫黄は歪み鳴りながら
か黒き貨車に移さるゝ



(下書稿2推敲後)

暇みてひと夜さ月のしたを来し
硫黄はひじみ鳴りながら
かぐろき貨車に移さるゝ

夜をこめて来しこの馬の
青き朝日にふかぶかと
かしらを垂れて汗すなり



(下書稿2推敲前)

ひと夜さ月のしたを来し
硫黄はひじみ鳴りながら
かぐろき貨車に移されつ

夜をこめてこしこの馬は
青き朝日にふかぶかと
かしらを垂れて汗すなり



(下書稿1推敲後)

大森山の松の上に
二十日の月ぞ泛ぶころ
棒の硫黄をうち積みて
峡の広場をいで立ちぬv
かじろき岩のきり岸や
木々うちねむる山裾を
ポニーさびしくうち急ぎ
川あをじろく鳴りにけり

東しらみて野に入れば
をちこち春の鳥なきて
はや起きたてる村人や
霧ほのじろく流れけり

青き朝日に首たれて
馬ほのぼのと汗すれば
硫黄はひじみ鳴りながら
か黒き貨車に移さるゝ



(下書稿1推敲前)

大森山の右肩に
二十日の月ののぼるころ
棒の硫黄をうち積みて
峡の広場をいで立ちぬ

馬は頭をうち垂れて
かのましろなるきり岸を
月のあかりにあぬみしに
川あをじろく鳴りにけり

東しらみて野に入れば
をちこち春の鳥なきて
はや起きたてる村人や
霧ほのじろく流れけり