目次へ  縦書き

文語詩100/5

祭日〔一〕

谷権現の祭りとて、    麓に白き幟たち、
むらがり続く丘丘に、   の数のしどろなる。


穎花はな青じろき稲むしろ、  水路のへりにたゝずみて、
朝の曇りのこんにゃくを、 さくさくさくと切りにけり。



(「女性岩手」発表形)

祭日

谷権現たにごんげんのまつりとて
麓に白きのぼりたち
むらがり続くおか丘に
の数のしどろなる

穎花はな青じろきいなむしろ
水路のへりにたゝずみて
朝の曇りのこんにやくを
さくさくさくと切りにけり



(下書稿5推敲後)

煮売

谷権現の祭りとて
麓に白き幟たち
むらがり続く丘丘に
の数のしどろなる

穎花はな青じろき稲むしろ
水路のへりにただずみて
朝の曇りのこんにやくを
さくさくさくと切りにけり



(下書稿5推敲前)

谷権現の祭りとて
橋のたもとに幟たち
白雲かかる丘丘は
の音をちこちしどろなり

ささやかに青き稲むしろ
水路のへりにただずみて
朝の曇りのこんにやくを
さくさくさくと切りにけり



(下書稿4推敲後)

茶亭

谷権現の祭りとて
丘丘にのしどろなる

南は青き稲むしろ
水路のへりにただずみて
朝の曇りのこんにやくを
さくさくさくと切りにけり



(下書稿4推敲前)

茶亭

谷権現の祭りとて
丘丘はのしどろなる

はるかに青き稲むしろ
水路のへりにただずみて
朝の曇りのこんにやくを
さくさくさくと切りにけり



(下書稿3推敲後)

谷権現の祭りとて
丘丘はのしどろなる

はるかに青き稲むしろ
水路のへりにただずみて
朝の曇りのこんにやくを
さくさくさくとこそ切りにけり

あゝたゞなづく丘丘に
うづまきかゝる秋の白雲



(下書稿3推敲前)

谷権現の祭りとて
丘丘はのしどろなる

モッペをうがち児を負ひて
青きパラソルかざし来る

さては稲田にたゞずみて
こんにやくをきるをみなあり

あゝたゞなづく丘丘に
うづまきかゝる秋の白雲



(下書稿2推敲後)

谷権現の祭りとて
丘に鼓のしどろなる

モッペをうがち児を負ひて
青きパラソルかざしたる

さては稲田にたゞずみて
こんにやくをきるをみななど

あゝたゞなづく丘丘に
うづまきかゝる秋の白雲



(下書稿2推敲前)

谷権現の祭りにて
丘に太鼓のしどろなる

モッペをうがち児を負ひて
青きパラソルかざしつゝ
祭りに急ぐをみなあり

さては稲田にたゞずみて
こんにやくをきるをみななど

谷権現の祭りとて
丘丘に立つ雲の髪



(下書稿1推敲後)

祭日

稲田のへりにたゞすみて
こんにやくを切るをみなあり

モッペをうがち児を負ひて
青きパラソルかざしつゝ
祭りに急ぐ若き母あり
はじめに遠き地平を見
次に切らるゝこんにやくを
やがてうらめるまなこして
ひたすらみちを急ぎ行きけり



(下書稿1推敲前)

祭日

谷権現の祭り日を
そら青々と晴れたれば
煮物をなして販りなんと
青き稲田をせなに負ひ
水路のへりにかゞまりて
ひとひら鈍き灰いろの
こんにやくをさくと切りにけり

モッペをうがち児を負ひて
青きパラソルかざしつゝ
祭りに急ぐ農婦あり
はじめに店をうちのぞき
歪める梨と菓子を見
次には切らるゝこんにやくを
やゝながしめにうらまもり
その故なにかわかねども
うらむがごときまなこして去る