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文語詩100/47

酸虹

鵞黄の柳いくそたび、 窓を掃ふと出てたちて、


片頬むなしき郡長、  酸えたる虹をわらふなり。



(下書稿6推敲後)

酸虹さんこう

鵞黄の柳いくそたび
窓を掃ふと出てたちて
片頬むなしき郡長
酸えたる虹をわらふなり



(下書稿6推敲前)

酸虹さんこう

やゝに硫黄の粒噴きて
窓うち掃ふ柳ゆゑ
頬はむなしき郡長こほりをさ
酸えたる虹をあざわらふ

このときどてのかれ草を
青にびマントひるがへし
後備大佐の甲斉は
醉ひて村よりおとなひぬ



(下書稿5推敲後)

牛酪バタの粒噴く柳糸やなぎいと
しばしば掃ふ窓にして
頬はむなしき 郡長こほりをさ
ねむたく虹を ながめたり

このとき土手の かれ草に
青にびマント ひるがへし
蚕桑技手の 黒金くろキン
醉ひて村より 帰りくる



(下書稿5推敲前)

牛酪バタの粒噴く柳糸やなぎいと
しばしば掃ふ窓にして
頬はむなしき 郡長こほりをさ
ねむたく虹を ながめたり

このとき土手の かれ草を
青にびマント ひるがへし
蚕桑技手の 黒長くろちよう
醉ひて村より 帰りくる



(下書稿4推敲後)

郡衙

頬はむなしき郡長こほりをさ
やゝに硫黄の粒はきて
窓うち掃ふ柳ゆゑ
酸えたる虹をあざわらふ
このときどてのかれくさに
青にびマントひるがへし
女蕩しの農事技手
醉ひて村より帰りくる



(下書稿4推敲前)

郡衙

頬はむなしき郡長こほりをさ
酸えたる虹をわらふころ
青にびマントひるがへし
技手は役所に帰りくる



(下書稿3推敲後)

あしたはどてのかれ草に、
柳硫黄の粒噴けば、
頬はむなしき郡をさ
酸えたる虹をわらひ来つ

ゆふべはにびし館の屋根
エレキましろくうづまきて
青にびマントひるがへし
技手ぞ役所に帰るなれ



(下書稿3推敲前)

あしたはかれ草のどて
柳硫黄の粒吐けるを、
鹿鳴館の古き貴賓、
上席書記頬やせてわらひ来り

肥料倉庫の屋根の上に
エレキましろくうづまけば
青土いろのマント着て
技手は役所へ帰り来る



(下書稿2推敲後)

光酸

雲の傷みの重りきて
光の酸をそゝぐころ
肥料倉庫の屋根の上に
エレキましろく渦巻けば

青土いろのマントして
技手は郡衙に帰りくる
電線小鳥肩まろく
ほのかになきて溶けんとす



(下書稿2推敲前)

光酸

雲の傷みの重りきて
光の酸をふりそゝぎ

電線小鳥肩まろく
ほのかになきて溶けんとす



(下書稿1「冬のスケッチ」第43葉第1章 推敲後)

※ 光酸

雲の縮れの重りきて、
光の酸をふりそゝぎ、
電線小鳥 肩まるく、
ほのかになきて溶けんとす。



(下書稿1「冬のスケッチ」第43葉第1章 推敲前)

※ 光酸

いつしか雲の重りきて、
光の酸をふりそゝぎ、
電線小鳥 肩まるく、
ほのかになきて溶けんとす。