目次へ  縦書き

文語詩100/44

〔猥れて嘲笑めるはた寒き〕

猥れて嘲笑あざめるはた寒き、  凶つのまみをはらはんと、

かへさまた経るしろあとの、 天は遷ろふ火の鱗。


つめたき西の風きたり、   あららにひとの秘呪とりて、

栗の垂穂をうちみだし、   すすきを紅くかがやかす。



(下書稿4推敲後)

判事

猥れて嘲笑あざめるはた寒き
まがつのまみをはらはんと
帰途かへさまた経るしろあとの
あめは遷ろふ火のうろこ

つめたき西の風きたり
あららにひとの秘じゅとりて
栗の垂穂をうちみだし
すすきを紅くかがやかす



(下書稿4推敲前)

検事

猥れて嘲笑あざめるはた寒き
まがつのまみをはらはんと
かへさまた経るしろあとの
あめは遷ろふ火のうろこ

つめたき西の風きたり
あららにひとの秘じゅとりて
栗の垂穂をうちみだし
すすきを紅くかがやかす



(下書稿3推敲後)

判事

れてあざめるはた寒き
まがつのまみをはらはんと
かへさまた経るしろあとの
あめはうつらふ火の鱗

つめたき西の風きたり
あららにひとの秘じゅとりて
栗の垂穂をうちみだし
すすきを紅く燿やかす



(下書稿3推敲前)

判事

れてぬすめるはた寒き
まがつのまみをはらはんと
たまゆら立てるこの丘に
翔くるは赤きうろこ雲

つめたき西の風きたり
そゞろにひとの秘じゅをとり
栗の垂穂をうちみだし
すすきを紅くかゞやかす



(下書稿2)

わざを了へしとひとひみし
悪しきまなこをはらはんと
このしろあとにとめくれば
翔くるは赤きうろこ雲



(下書稿1推敲後)

業うちはてし夕暮を
この城あとにとめくれば
寂まる桐のかれ上枝はづえ
翔くるは赤きうろこ雲

つめたき西の風きたり
秘めたるきみが名をとりて
栗の垂穂をうちみだし
すゝきのむらをかゞやかす



(下書稿1推敲前)

寂まる桐のかれ上枝はづえ
翔くるは赤きうろこ雲

あゝまた風のなかに来て
かなしく君が名をよべば
あけびのつるのかゞやきて
鳥は汽笛を吹きて過ぐ