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文語詩100/33

旱害地帯

多くは業にしたがひて  指うちやぶれ眉くらき
学びの児らの群なりき


花と侏儒とを語れども  刻めるごとく眉くらき
稔らぬ土の児らなりき


    ……村にあがたにかの児らの  二百とすれば四万人
      四百とすれば九万人


ふりさけ見ればそのあたり 藍暮れそむる松むらと
かじろき雪のけむりのみ



定稿、草稿ともに紛失し、現在所在不明である。 本文は十字屋版全集掲載形による。

 詩篇定稿。いずれも定稿用紙にブルーブラックインクで清書され、 「文語詩稿 一百篇」と表書きされた厚手和紙表紙(作者自製のも の)に挟まれて宮沢家に所蔵それていたもの。元は101枚であっ たが、そのうち5篇5枚(「母」「岩手公園」「選挙」「早春」 「旱害地帯」の定稿)は失われて、現存していないので、写真、旧 全集本文等に拠った。現存稿はほとんどが「文語詩稿 五十篇」定 稿と同様に、用紙の罫を用いて、上下二段にきちんと楷書で詩句を 記し、句読点も付され、行の空け方も「文語詩稿 五十篇」に準じ ている。

 現存96枚の各紙葉には、赤インクで1から101までの番号が 記されている。この赤番号については、「文語詩稿 五十篇」校異 冒頭の記述を参照にされたい。各篇下書稿に、定稿と同じ番号が付 されているものがかなりある点も同様である。本巻本文の配列は、 この赤番号の順にしたがっている。ただし、定稿の存在しない5篇 のうち、「母」「岩手公園」「選挙」は、下書稿にも赤番号が悪の で、その位置は決められるが、「早春」と「旱害地帯」の2篇は、 下書稿にも番号がない(もしくは下書稿が存在しない)ので、やむ なく旧全集での配列順をも参照しつつ、仮に「早春」を欠番29に、 「旱害地帯」を欠番33に当てはめる。