目次へ  縦書き

文語詩100/32

コバルト山地

なべて吹雪のたえまより、 はたしらくものきれまより、


コバルト山地山肌の、   ひらめき酸えてまた青き。



(下書稿3推敲後)

コバルト山地

なべてふゞきのたえまより
またしらくものきれまより
コバルト山地 山肌の
ひらめき酸えてまた青き



(下書稿3推敲前)

コバルト山地

うかびしづめる電線や
わびしき松の森のはて
コバルト山地雲むらの
なかにうづまくみふゆの火

なべてけむりのたえまにて
またしらくものたえまにて
コバルト山地 山肌の
ひらめき酸えてまた青き



(下書稿2推敲後)

うかびしづめる電線や
わびしき松の森のはて
コバルト山地雲むらの
なかにうづまくみふゆの火

なべてけむりのたえまにて
またしらくものたえまにて
コバルト山地山肌の
ひらめき酸えてまた青き



(下書稿2推敲前)

コバルト山地白雲の
なかに燃ゆるはみふゆの火

毛無しのもりの伐跡は
亜塩の雪をたゝへたり

電線あやしく浮沈して
列車ボーイの面さびし

かぐろき北の雲の列
ケナシの雪をこそげ行く



(下書稿1推敲後)

蚕業の技師町の技手
礼して汽車のいでたてば
コバルト山地白雲の
中にま白き火は燃えぬ

電線しげく浮沈して
列車ボーイの面くらく
毛無のもりのきりあとは
亜塩の雪を湛へたり

県知事須藤三右衛門
信濃の原の豪族に
民うることを企みて
大きシガーをくゆらしぬ

せはしき松の足なみや
白のけぶりのかなたにて
ヅィンクダストの雲の列
毛無シの雪を削り行く



(下書稿1推敲前)

はるかなる
コバルト山地白雲の
なかに燃ゆるはま白の火

毛無のもりのきりあとは
亜塩の雪を湛えたる

   電線あやふく浮沈して
   列車ボーイの顔さびし

ヅィンクダストの雲の列
毛無シの雪を削り行く



(関連口語詩「コバルト山地」=詩集『春と修羅』所収)

コバルト山地

コバルト山地さんち氷霧ひゃうむのなかで
あやしい朝の火が燃えてゐます
毛無森けなしのもりのきり跡あたりの見當けんたうです
たしかにせいしんてきの白い火が
水より強くどしどしどしどし燃えてゐます