目次へ  縦書き

文語詩100/28

〔白金環の天末を〕

白金環の天末を、    みなかみ遠くめぐらしつ、

大煙突はひさびさに、  くろきけむりをあげにけり。


けむり停まるみぞれ雲、 峡を覆ひてひくければ、

大工業の光景さまなりと、  技師も出てたち仰ぎけり。



(下書稿3推敲後)

白金環の天末を
みなかみ遠くめぐらしつ
大煙突はひさびさに
しろきけむりを昇しけり

けむり停まるみぞれ雲
峡を覆ひてひくければ
大工業の光景さまなりと
技師も出てたち仰ぎけり



(下書稿3推敲前)

白金環の天末を
さもつきぬけて広告の
大煙突はひさびさに
しろきけむりを昇しけり

けむり停まるみぞれ雲
峡を覆ひてひくければ
大工業の光景さまなりと
技師は写真にとりてけり



(下書稿2推敲後)

疑似工業

白金環の天末の
こなたに立ちて広告の
大煙突はせふとみに
黒きけむりを吐きあぐる

けむりのぼるみぞれ雲
峡を覆ひてくらければ
大工業のさまなりと
技師は写真をとりてけり



(下書稿2推敲前)

疑似工業

白金環の天末の
こなたに立ちて広告の
大煙突はけふとみに
黒きけむりを吐きあぐる

みぞれの雲のくらくして
けむりをとりてひろがれば
大工業のさまなりと
技師は写真をとりてけり



(下書稿1推敲後)

広告用と築きてし
大煙突は幾年の
佇立をやめてけふとみに
黒きけむりを吐きあぐる

西とひがしの山裾を
つらねてひとくみぞれぐも



(下書稿1推敲前)

宣伝用に築きける
なかば崩れしみなかみの
大煙突はけふとみに
黒きけむりを吐きにけり

西とひがしの山裾を
つらねてひとくみぞれぐも