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文語詩100/20

暁眠

微けき霜のかけらもて、  西風ひばに鳴りくれば、
街のあかりの黄のひとつ、   ふるへて弱く落ちんとす。


そはまみゆらぐ翁面おきなめん、    おもてとなして世をわたる、
かのうらぶれのいか物師、  木どうがかりのかどなれや。


写楽が雲母きらを揉みこそげ、  芭蕉の像にけぶりしつ、
春はちかしとしかすがに、 雪の雲こそかぐろなれ。


ちひさきびやうや失ひし、 あかりまたたくこの門に、
あしたの風はとどろきて、 ひとははかなくなほ眠るらし。



(下書稿3推敲後)

暁眠

はるけき霜のかけらもて
西風ひばに鳴りくれば
まちあかりの黄のひとつ
ふるへて弱く落ちんとす

そはまみゆらぐ翁面おきなめん
おもてとなして世をわたる
かのうらぶれの贋物いかもの
どうがかりのかどなれや

写楽の雲母きらをもみこそ
芭蕉の像にけぶりしつ
春はちかしとしかすがに
雪の雲こそかぐろなれ

ちひさきびやうやうしなひし
あかりさゆらぐこの門に
あしたの風はとどろきて
ひとははかなくなほねむるらし



(下書稿3推敲前)

贋物師

かそけき霜のかけらもて
西風ひばに鳴りくれば
まちあかりの黄のひとつ
ふるへて弱く落ちんとす

そはまみゆらぐ翁面おきなめん
おもてとなして世をわたる
かのうらぶれの贋物いかもの
どうがかりのかどなれや

写楽の雲母きらをもみこそ
芭蕉の像にけぶりしつ
春はちかしとしかすがに
雪の雲こそかぐろなれ

ちひさきびやうや喪ひし
あかりさゆらぐこの門に
あしたの風はとどろきて
ひとははかなくなほねむるらし



(下書稿2)

かそけき霜のかけらもて
西風ひばに鳴りくれば
まちのあかりのその一つ



(下書稿1推敲後)

みちにはかたきしもしきて
きたかぜ檜葉をならしたり

贋物師
木藤宗二郎の門口に
朝の祈りのこゑきこゆ



(下書稿1推敲前)

みちにはかたきしもしきて
きたかぜ檜葉をならしたり
贋物師いかものし、加藤宗二郎の門口に
まことの祈りのこゑきこゆ