目次へ  縦書き

文語詩100/16

〔けむりは時に丘丘の〕

けむりは時に丘丘の、  栗の赤葉に立ちまどひ、
あるとき黄なるやどり木は、  ひかりて窓をよぎりけり。

(あはれ土耳古玉タキスのそらのいろ、 かしこいずれの天なるや)
(かしこにあらずこゝならず、 われらはしかく習ふのみ。)

(浮屠らも天を云ひ伝へ、 三十三を数ふなり、
上の無色にいたりては、 光、思想を食めるのみ。)

そらのひかりのきはみなく、 ひるのたびぢに遠ければ、
をとめは餓ゑてすべもなく、 胸なるたまをゆさぶりぬ。



(下書稿4)

けむりは時に丘丘の
栗の赤葉に立ちまどひ、
あるとき黄金のやどり木は
ひかりて窓をよぎりけり

(あはれ土耳古玉タキスのそらのいろ)
(かしこいずれの天なるや)
(かしこにあらずこゝならず
 われらはしかく習ふのみ)

(われらも天を云ひ伝へ
 三十三を数ふなり
 上の無色にいたりては
 光、思想を食めるのみ)

そらのひかりのきはみなく
ひるのたびぢに遠ければ、
をとめは餓ゑてすべもなく
胸なるたまをゆさぶりぬ



(下書稿3)(断片)

(タキスと    )
(雲を羊の毛とつたふ
    海とま青き瞳して
(かしこいずちの天なるや)
(かしこにあらずこゝならず
われらはしかく習ふのみ)
   処女はかなくほゝえみぬ
(われらも天と云ひ伝ひ
 三十三を数ふ



(下書稿2)(断片)

(あなやどりぎの黄なる毬)
(車ならずばとりてんを)
 青き瞳はさながらに
 西なる海と湛えたり

(けむりは時に丘丘の



(下書稿1推敲後)

 栗赤枯れし丘の間を
 はてなく汽車は馳せにけり

(かしこにあらずこゝならず
 たゞそのひとに起るてふ)

(われらも伝ふその数を
 三十三と数ふなり)

まひるを明くそら晴れて
はるけき旅を餓えにつゝ



(下書稿1推敲前)

(見ずややどりぎ毬黄なる)
 栗赤枯れし丘の間を
 はてなく汽車は馳せにけり

(かしこにあらずこゝならず
 たゞそのひとに起るてふ)

(われらも天を伝ふなり
 三十三と数ふなり)

まひるを明くそら晴れて
はるけき旅を餓えにつゝ



(先駆形口語詩「〔あかるいひるま〕」)

〔あかるいひるま〕

あかるいひるま
ガラスのなかにねむってゐると
そとでは冬のかけらなど
しんしんとして降ってゐるやう
蒼ぞらも聖く
羊のかたちの雲も飛んで
あの十二月南へ行った汽車そっくりだ
Look there, a ball of mistletoe ! と
おれは窓越し丘の巨きな栗の木を指した
Oh, what a beautiful specimen of that !
あの青い眼のむすめが云った
汽車はつゞけてまっ赤に枯れたこならの丘や
濃い黒緑の松の間を
どこまでもその孔雀石いろのそらを映して
どんどんどんどん走って行った
"We say also heavens,
but of various stage."
"Then what are they ?" むすめは(以下不明)

(一、二行不明)

聖者たちから直観され(以下不明)
古い十界の図式まで
科学がいまだに行きつかず
はっきり否定もできないうちに
たうたうおれも死ぬのかな
いま死ねば
いやしい鬼にうまれるだけだ