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文語詩100/15

〔二山の瓜を運びて〕

二山の瓜を運びて、   舟いだす酒のみの祖父ぢぢ


たなばたの色紙購ふと、 追ひすがる赤のうなゐ。


ま青なる天弧の下を、  きららかに町はめぐりつ。


ここにして集へる川の、 はてしなみ萌ゆるうたかた。



(下書稿5推敲後)

二山の瓜を運びて
舟いだす酒のみの祖父ぢゞ

たなばたの色紙購ふと
追ひすがる赤髪あかけのうなゐ

ま青なる天弧の下を
きららかに町はめぐりつ…

ここにして集へる川の
はてしなく萌ゆる水沫うたかた



(下書稿5推敲前)

二山の瓜をたづさへ
大祖父は舟を泛ぶる

たなばたの色紙購ふと
つゝましきへさきのうなゐ

ここにして集へる川の
はてしなく萌ゆるうたかた



(下書稿4推敲後)

瓜熟れて
籠にみつれば
大祖父の
  舟を泛ぶる

七夕の
いろがみ購ふと
つゝましき
  へさきのうなゐ

川ふたつ
こゝに集ひて
はてしなく
  萌ゆる水沫うたかた



(下書稿4推敲前)

瓜摘みて
桃摘みて
大祖父の
  舟を泛ぶる

七夕の
いろがみ購ふと
銭にぎる
  へさきのうなゐ

川ふたつ
こゝに集ひて
はてしなく
  萌ゆる水沫うたかた



(下書稿3)

七夕

れて
わけぎ光れば
七夕の
色紙いろがみ購ふと
大祖父の舟を泛ぶる

川ふたつ
こゝに集ひて
はてしなく萌ゆる水沫うたかた



(下書稿2推敲後)

瓜熟れて籠にみつれば
翁はも舟を泛ぶる

たなばたの
いろがみほしと
追ひすがる孫なるうなゐ

こゝにして
つどへる川の、
はてしなく萌ゆるうたかた



(下書稿2推敲前)

瓜熟れて
籠にみつれば
祖父はうなゐと舟を泛ぶる

川ふたつ
こゝにつどひて
はてしなく萌ゆるうたかた



(下書稿1推敲後)

蕃地

れて、
稲禾ひかれば、
君は熟蕃と船を泛ぶる、

あゝ天の戯笑をはるに
緑水を行けるうたかた



(下書稿1推敲前)

れて
稲禾ひかれば
君は熟蕃と船を泛ぶる

あゝ梵のわらひは遠く
濃緑の水はながるゝ