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文語詩100/10

巡業隊

 

霜のまひるのはたごやに、  がらすぞうむる一瓶の、
酒の黄なるをわかちつゝ   そゞろに錫の笛吹ける。


すがれし大豆まめをつみ累げ、  よぼよぼ馬の過ぎ行くや、
風はのぼりをはためかし、  障子の紙に影刷きぬ。


ひとりかすかに舌打てば、  ひとりは古きらしゃ鞄、
黒きカードの面反おもぞりの、   わびしきものをとりいづる。


さらにはげしく舌打ちて、  おさぞまなこをそらしぬと、
楽手はさびしだんまりの、  投げの型してまぎらかす。



(下書稿4推敲後)

巡業隊

霜のまひるのはたごやに
がらすぞうむる一びんの
酒の黄なるをわかちつゝ
そぞろに錫の笛吹ける

すがれし大豆まめをつみかさ
よぼよぼ馬の過ぎ行くや
風はのぼりをはためかし
障子の紙に影刷きぬ

ひとりかすかに舌打てば
ひとりは古きらしゃ鞄
黒きカードの面反おもぞりの
わびしきものをとりいづる

さらにはげしく舌打ちて
おさぞまなこをそらしぬと
楽手はさびしだんまりの
投げの型してまぎらかす



(下書稿4推敲前)

巡業隊

霜のまひるのはたごやに
かけそく澱む一びんの
酒の黄なるをわかちつゝ
そぞろに錫の笛吹ける

すがれし大豆まめをつみかさ
よぼよぼ馬の過ぎ行きて
風はのぼりをはためかし
障子の紙に影刷きぬ

ひとりかすかに舌打てば
ひとりは古きらしゃ鞄
黒きカードの面反おもぞりの
わびしきものをとりいだす

さらにはげしく舌打ちて
おさぞまなこをそらしぬと
楽手はさびしだんまりの
投げの型してまぎらかす



(下書稿3推敲後)

巡業隊

霜のまひるのはたごやに
かけそく澱む一びんの
酒の黄なるをわかちつゝ
そゞろに錫の笛吹ける

すがれし大豆をつみ累げ
よぼよぼ馬の過ぐるころ
風はのぼりをはためかし
障子の紙に影刷きぬ

ひとりかすかに舌打てば
ひとりは古りしらしゃ鞄
黒きカードの面反りの
わびしきものをとりいづる

さらにはげしく舌打ちて
長ぞおもてをそらしぬと
楽手はさびしだんまりの
投げの型してまぎらかす



(下書稿3推敲前)

巡業隊

霜のまひるのはたごやに
かけそく澱む一びんの
酒の黄なるをわかちつゝ
そゞろに錫の笛吹ける

おもてはのぼりはためきて
障子を過ぐる風の影
すがれの大豆をせなにして
ガラスを過〔よ〕ぐるよぼれ馬

ひとりかすかに舌打てば
ひとりは笛をあげうちて
亜鉛は古りし機械凾
黒きカードをとりいだす

さらにはげしく舌打ちて
あらぬ方見る座の長や
投げの極めにたまぎらし
ひとりは札ををさめたり



(下書稿2推敲後)

霜のまひるの楽手たち
かけそく澱むひとびんの
酒の黄なるをわかちつゝ
そゞろに錫の笛吹ける

外の面にのぼりはためきて
障子をわたる風の影
抜きてし大豆をせなにして
ガラスを過ぐるくびれ馬

ひとりかすかに舌打てば
ひとりは投げの型つくり
ひとりは笛をなげうちて
黒きカードをとりいだす



(下書稿2推敲前)

霜のまひるの楽手たち
かけそく澱むひとびんの
酒の黄なるをわかちつゝ
そゞろに錫の笛吹ける

のぼりかすかにはためきて
障子を過ぐる風の影

抜きたる大豆をせなにして
ガラスを過ぐるをぞの馬

なにかかすかにいらだちて
ひとりかすかに舌打てば
ひとりは投げの型つくり
ひとりは笛をなげうてる



(下書稿1推敲後)

霜のまひるの楽手たち
かけそく澱む黄の酒を
陶の小盃に頒ちつゝ
そゞろに錫の笛吹ける
  風しろびかり影ぬれて
  のぼりかすかにはためけば
抜きたる大豆をせなにして
をぞに過ぎ行く馬もあり
霜のまひるの駅亭に
酒うち汲める楽手らの
ひとりかすかにいらだちて舌打ちし
錫の笛をばなげうてる



(下書稿1推敲前)

霜のまひるの楽手たち
ひとびんの
酒の黄なるを頒ちつゝ
さびしく弱き笛吹けり
  風のしろびかりとつめたき影
  のぼりかすかにはためけり
抜きたる大豆をせなにして
馬をぞましく過ぎ行きて
ひとりかすかに舌打ちし
濁れる瓶をすかし見ぬ



(先駆形短歌)(短歌B 14)

楽手らのひるはさびしきひと瓶の
酒をわかちて  銀笛をふく。

(推敲後)

楽手らのひるは銹びたるひと瓶の
酒をわかちて  戯れごとを云ふ。