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文語詩50/49

民間薬

たけしき耕の具を帯びて、 羆熊の皮は着たれども、

夜に日をつげる一月の、  干泥のわざに身をわびて、

しばしましろの露おける、 すぎなの畔にまどろめば、

はじめは額の雪ぬるみ、  鳴きかひめぐるむらひばり、

やがては古き巨人の、   石の匙もて出てきたり、

ネプウメリてふ草の葉を、 薬に食めとをしへけり。



(下書稿)

民間薬

たけしきこうを帯びて
羆熊の皮は着たれども
夜に日をつげる一月ひとつき
水田みづたのわざに身をわびて
しばしましろの露おける
すぎなのくろにまどろめば
はじめはぬかの雪ぬるみ
鳴きかひめぐるむらひばり
やがては古き巨人おほびと
石の匙もて出てきたり
ネプウメリてふ草の葉を
くすりに喰めとをしへけり



(雑誌発表形「女性岩手」創刊号1932年8月発行)

民間薬

たけしき耕の具を帯びて
ひぐまの皮は着たれども
夜に日をつげる一月の
卑泥のわざに身をわびて
しばしましろの露おける
すぎなの畔にまどろめば
はじめはぬかの雪ぬるみ
啼きかひめぐるむらひばり
やがては古き巨人の
石の匙もて出てきたり
ネプウメリてふ草の葉を
薬に喰めとをしへける