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文語詩50/45

〔僧の妻面膨れたる〕

僧の妻面膨れたる、     飯盛りし仏器さゝげくる。

(雪やみて朝日は青く、   かうかうと僧は看経。)

寄進札そゞろに誦みて、   僧の妻庫裡にしりぞく。

(いまはとて異の銅鼓うち、 晨光はみどりとかはる。)



(定稿推敲前)

僧の妻面膨れたる、     飯盛りし仏器さゝげくる。

雪やみて朝日は青く、    かうかうと僧は看経。

寄進札そゞろに誦みて、   僧の妻庫裡にしりぞく。

いまはとて異の銅鼓うち、  晨光はみどりとかはる。



(下書稿3推敲後)

僧の妻面れたる
飯盛りし仏器さゝぐれば

雪やみて朝日は青く
かうかうと僧は看経カンキン

寄進札そゞろに誦みて
僧の妻庫裡に帰れば

いまはとての銅鼓うち
晨光はみどりとかはる



(下書稿3推敲前)

僧の妻面れたる
飯盛りし仏器さゝげつ

雪やみて朝日は青く
かうかうと僧は看経カンキン

寄進札そゞろに誦みて
僧の妻庫裡にしりぞく

僧はいまの銅鼓うち
晨光はみどりとかはる



(下書稿2推敲後)

雪やみて朝日は青く
本堂はひかりあまねし

老僧はひかりのなかに
かうかうと朝の看経

僧の妻おもて腫れつゝ
飯盛りし仏器をさゝげくる

僧は希ぐ命終のとき
そのこゝろみだれざらんと

寄進札そゞろに誦みつ
僧の妻庫裡にしりぞく

僧はいま異の銅鼓うち
晨光はみどりとかはる



(下書稿2推敲前)

雪やみて朝日は青く
本堂はひかりあまねし

帽紅き老僧ひとり
かうかうと朝の看経

松もみな雪に枝垂れ
つゝましくきけるがごとし

僧はいま異の銅鼓うち
晨光は黄とかはりけり

このときに面腫れたる
僧の妻ぼんをもたらす



(下書稿1推敲後)

雪やみて朝日は青く、
驢の三四門にとゞまり
松をもてうちかこまれし
鐘台はひかりあまねし

逞ましき赤袍の僧
かうかうと鉦を鳴らせば
野のきはみそらはひかりて
ビザンチン遠くながるゝ

松はみな雪に枝垂れ
つゝましく聴けるがごときに
僧はいま異の銅鼓うち
晨光は黄とかはりけり

ときにかの面腫れたる
大羅摩ぞ本堂に入り
いまあがる鐃鉢の差や
童ひとり門を出でくる



(下書稿1推敲前)

雪やみて朝日は青く
、 鐘鼓台ひかりあまねし

逞ましき赤衣の僧は
台の上に鉦を鳴らせり

松はみな雪に枝垂れ
野のきはみそらはひかれり

僧はいま異の銅鼓うち
晨光は黄とかはりけり

このときに面腫れたる
大羅摩ぞ本堂に入る