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文語詩50/44

〔さき立つ名誉村長は〕

さき立つ名誉村長は、  寒煙毒をふくめるを、
豪気によりて受けつけず。


次なる沙弥は顱を円き、 猫毛の帽に護りつゝ、
その身は信にゆだねたり。


三なる技師は徳薄く、  すでに過冷のシロッコに、
なかば気管をやぶりたれ。


最后に女訓導は、ショールを面に被ふれば、
アラーの守りあるごとし。



(下書稿2推敲後)

さき立つ名与村長は
寒煙毒をふくめるを
、 豪気によりて受けつけず

次なる沙弥はを円き
猫毛の帽に護りつゝ
その身は信にゆだねたり

三なる技師は徳薄き
零下十度のシロッコに
なかば気管をやぶりたれ

最后に女訓導は
ショールを面に被ふれば
アラーの守りあるごとし



(下書稿2推敲前)

さきなる名与村長は
寒煙毒をふくめるを、
豪気によりて受けつけず

次なる沙弥のを円き
にせ猫皮帽を借り
その身は信にゆだねたり

三なる技師は徳薄き
零下十度のシロッコに
なかば気管をやぶりたれ

最后に女訓導は
ショールを面に被ふれば
秘密教徒に似たりけり



(下書稿1推敲後)(冒頭原稿なし)

第三黒きぼろオーバ
農業技手は徳薄く
零下十度のシロッコに
なかば気管をやぶりたれ

やがてしづまる赤楊木立
ふたゝび淀む雪のもや
女史先生はショールもて
しかと鼻をば覆ふなれ



(下書稿1推敲前)(冒頭原稿なし)

第三黒きぼろオーバ
農業技手はすでにはや
零下十度のシロッコに
なかば気管をやぶりたれ

しづまり立てる赤楊木立
ふたゝび淀む雪のもや
女史先生はショールもて
しかと鼻をば覆ふなれ



(先駆形口語詩「〔四信五行に身をまもり〕」)

〔四信五行に身をまもり〕

(冒頭原稿なし)

四信五行に身をまもり
次なるぼく輩百姓技師は
すでに烈しくやられて居り
最后の女先生は
ショールをもって濾してゐる
さても向ふの電車のみちや
部落のひばのしげりのなかに
黄の灯がついて
南の黒い地平線から
巨きな雲がじつに旺んに奔騰するといふ景況である