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文語詩50/32

〔ほのあかり秋のあぎとは〕

ほのあかり秋のあぎとは、  ももどりのねぐらをめぐり、
つかさの手からくのがれし、   社司の子のありかを知らず。


社殿にはゆふべののりと、  ほのかなる泉の声や、
そのはははことなきさまに、 しらたまのもちひをなせる。



(下書稿4推敲後)

ほのあかり秋のあぎとは
ももどりのねぐらをめぐり
つかさの手からくのがれし
社司の子のゆくゑを知られず


社殿にはゆふべののりと
ほのかなる泉の声や
そのはははことなきさまに
しらたまのもちひをなせる



(下書稿4推敲前)

失意

おほいなる秋のあぎとは
ほのじろく林をめぐり
頬蒼くまなこひかりて
社司の子ぞつめたくわらふ


社殿にはゆふべののりと
もも鳥のかへりもだすや
そのはははことなきさまに
しらたまのもちひをなせる



(下書稿3推敲後)

失意

おほいなる秋のあぎとは
ほのじろく林をめぐり
頬蒼くまなこひかりて
なれのたゞつめたくわらふ


ながちゝはゆふべののりと
ももどりのかへりすだくや
ながはははことなきさまに
しらたまのもちひをなせる



(下書稿3推敲前)

失意

ほのじろき秋のあぎとは
ほのじろく森をめぐりて
頬蒼くまなこひかりて
なれはたゞつめたくわらひ


ながちゝはゆふべののりと
ももどりのかへりすだくや
ながはははことなきさまに
しらたまのもちひをなせる



(下書稿2推敲後)

訪問

うちけぶる 稲穂の面や
森も暮れ  地平も暮れて
巨いなる  秋のあぎとは
ほのじろく 野をめぐりにき


ながおもひ やぶれしをきき
いそがしく おとなひくれば
ながいへに 黄なる灯はつき
水の音   いともしづけし


杉むらは  まくろによどみ
はゞけたる 鳥のけはひを
かなしみの さはふかかりし
ああなれの つめたくわらふ


社殿に   ゆふべののりと
ながちちの ぬさやさゝげん
ながははは 事なきさまに
しらたまの もちひをなせる



(下書稿2推敲前)

訪問

森も暮れ  地平も暮れて
シグナルに 赤き灯はつき
ほのじろき 秋のあぎとは
はかなくも 四方をめぐりき

やつれたる なれを訪はんと
そがなかを 急ぎて来しに
かなしみの さはふかかりし
ああなれの つめたくわらふ



(下書稿1「歌稿B159葉〜160葉」)

森も暮れ地平も暮れて
ほのじろき秋のあぎとは
かなしくも四方をめぐりき
やつれたるなれを見んとて
そがなかをわが急ぎてきて
かなしみのさはふかかりし
あゝなれはかなしくわらふ



(先駆形短歌「歌稿B159葉〜160葉」)

736  巨なる
   秋のあぎとに繞られし
   薄明をわがひとりたどれる。

737  そらのはて
   わづかに明く
   たそがれの
   秋のあぎとにわがきらるゝらし。

737a たそがれの
   森をいそげば
   ほのじろく
   秋のあぎとぞ
   うちめぐるなれ

737b ほのじろき
   秋のあぎとに繞られて
   森ある町の
   しづかに暮れたり