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文語詩50/23

流氷ザエ

はんのきの高きうれより、   きらゝかに氷華をおとし、

汽車はいまやゝにたゆたひ、 北上のあしたをわたる。


見はるかす段丘の雪、    なめらかに川はうねりて、

天青石アヅライトまぎらふ水は、    百千の流氷ザエを載せたり。


あゝきみがまなざしの涯、  うら青く天盤は澄み、

もろともにあらんと云ひし、 そのまちのけぶりは遠き。


南はも大野のはてに、    ひとひらの吹雪わたりつ、

日は白くみなそこに燃え、  うららかに氷はすべる。



(下書稿推敲後)

はんのきの高きうれより
きららかに氷華をおとし
汽車はいまやゝにたゆたひ
北上のあしたをわたる

見はるかす
段丘の雪
なめらかに
川はうねりて
青々とかがやく水は
百千の流氷ザエを載せたり

ああきみがまなざしのはて
うら青く天盤は澄み
もろともにあらんと云ひし
そのまちのけぶりは遠き

南はも大野のはてに
ひとひらの吹雪わたりつ
日は白くみなそこに燃え
うららかに氷はすべる



(下書稿推敲前)

ロマンツェロ

かはやなぎ高きうれより
きららかに氷華をおとし
汽車はいまそらはるばると
北上のあしたをわたる

青じろきかの岩むろ
けさなべて雪にうづもれ
なめらかにとめくる水は
百千の流氷ザエを載せたり

ああきみがまなざしのはて
うら青く天盤は澄み
もろともにあらんと云ひし
そのまちのけぶりは遠し

南はも大野のはてに
ひとひらの吹雪わたりつ
日は白くみなそこに燃え
うららかに氷はすべる



(短歌関連作品)

710b  あはれきみがまなざしのはて
    むくつけき
    松の林と土耳古玉の天と

710c  北上の大野に汽車は入りたれば
    きみはうるはしき面をあげざり

710d  うるはしく
    うらめるきみがまなざしの
    はてにたゝずむ緑青の森